すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

日記

KASUKA氏はこのようにこの日を過ごした。

午前中、KASUKA氏は歯医者へ行った。
KASUKA氏は待合室で大塚愛のような女性に遭遇した。
なにを思ったのかKASUKA氏は勇気を出して隣に座ってみた。
そしておもむろにカバンから島田荘司著『斜め屋敷の犯罪』を取り出し、読み出す。しかし内容はほとんど頭に入ってこない。
あれ、いつのまにかひとり死んでるぞ。KASUKA氏は首を捻った。
美しい女性の名前が呼ばれ、大塚愛のような女性が立ち上がった。
同時に彼女の財布からバッサーと小銭が舞い散った。
びっくぅと飛び上がるKASUKA氏。
小銭と一緒にみしまやのサンシールもバッサーとなっている。
ふとKASUKA氏の脳裡にドラマ『電車男(2005)』のエンディングテーマ、サンボマスターの『世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』が鳴り響いた。
大塚愛のような女性はひとり、KASUKA氏に背中を向け腰をかがめて小銭を拾っている。
KASUKA氏は『斜め屋敷の犯罪』を開いたり閉じたりしながら、待合室をきょろきょろする。受付に二人、ソファーに三人、子供が二人奇声をあげながら本を取り合っている。
大塚愛のような女性はひとり、黙々とサンシールを集め、財布にしまっている。
診察室の扉が開いた。「あら、大丈夫ですか?」「はい、大丈夫です」
大塚愛のような女性はそう返事をして立ち上がり、診察室に消えていった。
その時、どんな顔で返事をしたのか、KASUKA氏は気になった。
そしてKASUKA氏は、仲良くなれるかもしれないチャンスをみすみす逃した自分の不甲斐なさを心底呪った。


昼〜午後、後輩pepeを呼び出しKASUKA氏はショッピングへと洒落込んだ。
昼ごはんを食べていない二人は武家屋敷の八雲庵へ行った。ここの鴨南そばは本当においしい、とKASUKA氏は力説した。
食事中、カート・コバーンのようなダメージデニムに、ピンクのTシャツと黒のポロシャツを重ね着したKASUKA氏の格好を、後輩pepeは力の限り褒めちぎった。
「清潔感がある」「凛々しい」「女だったらほれている」「ポロシャツのえり立てがイカス」
KASUKA氏は鷹揚にうなずいた。ここはわたしが奢らねばなるまい、KASUKA氏はひとりそう決心した。
しかし実際に後輩pepeが言った言葉はひとつもなかった。KASUKA氏の妄想であった。
その後、KASUKA氏と後輩pepeと共に郊外型大型書店で唐沢俊一著『薬局通』を購入し、ショッピングセンターにてきれい目な綿パンとカッターシャツを購入した。
われながら惚れ惚れするようなセンスだ、KASUKA氏はそう言ってほくそえんだ。
後輩pepeは明らかに怯んでいたがKASUKA氏は見ていない振りをした。


、KASUKA氏はバイトに行った。
KASUKA氏は趣味が高じて書店でバイトをしている。
日焼けした運動部と思しき高校生がKASUKA氏のやっているレジに、ライトノベルを持ってきた。
エブリデイマジックものか?落ちものか?KASUKA氏は高校生を心中で小馬鹿にしながらレジの上を見た。
イリヤの空、UFOの夏』であった。
それも3巻であった。
あやうくKASUKA氏はバイトの領分を越えて「きみはいい趣味をしている!」と叫びそうになった。
その後のバイト中、KASUKA氏の機嫌がよかったことは言うまでもない。


そしてKASUKA氏は帰ってカレー食って風呂入って布団に潜り込んだ。
今日も1ページも小説が進んでいないことは言うまでもなかった。