ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

8月の読書のまとめ

読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1831ページ


TYPE-MOONエースVOL.12 (カドカワムック)

TYPE-MOONエースVOL.12 (カドカワムック)

TYPE-MOONエースVOL.12 (カドカワムック)
 東出祐一郎さんのインタビューで『猫の地球儀』への言及があって、ふわあああ同世代!ってなりました。にしてもほんとにあと2章分を年内にやれるんでしょうか。日数的に。読了日:08月31日


あいどる (角川文庫)

あいどる (角川文庫)

■あいどる (角川文庫)
 うはあ、すごいSFだった。今作で際立ったギブスンの凄さはやはり都市への批評性だと思った。特に知っている場所であるということがここまで笑えるシーンへとつながるとは思わなかった。ガジェットと拡張された思考と、些細な事件とサブカルチャーが密接に絡んで結節点は明らかに新しい階梯を登るものってのがいやはやさすがだなぁ。この細部の厚みに読み始めはすごくじりじりするんだけれど、脳が慣れてくるとだんだん心地よくなっていくのも読書してるって感じがあっていい。読了日:08月24日 著者:ウィリアム・ギブスン


■虚構推理(1) (講談社コミックス月刊マガジン)
 ヒロインがかわいいし、異形が存在しているということを前提とした推理モノなのでここからどうなるのか、気になる。読了日:08月24日 著者:片瀬茶柴


■AIの遺電子(1)(少年チャンピオン・コミックス)
 なるほど。こういうテイストなのか。人と人に似た存在によって描かれる人間性の短篇連作もの。大きな下地になるストーリーとしては主人公の母にまつわる謎があるのかな。読了日:08月19日 著者:山田胡瓜


マロニエ王国の七人の騎士 1 (フラワーコミックスアルファ)
 岩本ナオの最新刊は中世ファンタジー。能力を秘めた7人の兄弟騎士たちが、岩本ナオのすごく身近で繊細なタッチで思い悩み、隣国との政治的な謀略に巻き込まれていく、この時点でもうかなり大好きなシリーズになることが確定的に明らかな、その1冊目!続きが楽しみだ!読了日:08月11日 著者:岩本ナオ


セカイ系とは何か (星海社文庫)
 現在流布している「セカイ系」の定義へと、どのように意味が変遷していったかをポスト・エヴァの文化史としてまとめてある良書。著者と同世代ではあるので当時の心持ちを思い出せるほど、きちんとした整理がなされていてすばらしい。一方で07-09年あたりの論壇へと波及していった流れ(『ゼロ想』は連載を読んではいたが)は抑えられていなかったので勉強になった。10年代に入っての流れも補足されいるし『まどマギ』への既視感を「ゼロ年代を総括した作品」と表現してあり納得した。とても資料性が高い1冊だった。読了日:08月07日 著者:前島賢


スクリプトドクターの脚本教室・初級篇

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇
 4章まででいかに脚本に感情的なうねりを用意して、自己の思考の殻を破り、視聴者に伝えるのかが書いてある。倫理的なことを書いておけば必ずしもいい脚本にはならないのは確かにそうだなと思った。社会的な、ありもしない一般的という人の目を気にして、縮こまった小説しか書けていないぼくにはとても参考になった。後半はスクリプトドクターの仕事について。ノンクレジット契約の仕事というのには驚いた。読了日:08月07日 著者:三宅隆太

7月の読書のまとめ

読んだ本の数:2冊
読んだページ数:487ページ


■うちのクラスの女子がヤバい(1) (マガジンエッジKC)
 ちょっとした能力を持った女の子たちが主人公のクラスを舞台にしたオムニバスコミック。すごくアプローチが丁寧で、カースト的な描写がないのも一役買っているんだろうなぁ。最近のモーニングに読み切りが載っていてそれもすごくよかった。高校生のころの事件をおとなになって解決したという、そういう時間感覚がすごくよかった。
【モーニング35周年読み切り祭り】 〈CARNAVAL〉第17弾は、ガールズ・ストーリーの妙手・衿沢世衣子が本誌初登場で贈る『制服ぬすまれた』! - モーニング公式サイト - モアイ
読了日:07月24日 著者:衿沢世衣子


アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫SF)
 読書会用。再読して思ったのは、人間存在の孤独について書かれた物語なのだなということ。多種なガジェットが出てくるが、それがどれもテーマに密接に結びついているのだな。読了日:07月20日 著者:フィリップ・K・ディック

やつはみ喫茶読書会四十五冊目『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

 やつはみ喫茶読書会四十五冊目フィリップ・K・ディックアンドロイドは電気羊の夢を見るか?』@半杓亭
 2017/07/22(土)開場15:00 開始15:30 終了18:00*1
 課題図書:フィリップ・K・ディックアンドロイドは電気羊の夢を見るか?』ハヤカワ文庫SF
 作品内容: 長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。そのため異星での植民計画が重要視されるが、過酷で危険を伴う労働は、もっぱらアンドロイドを用いて行われている。また、多くの生物が絶滅し稀少なため、生物を所有することが一種のステータスとなっている。そんななか、火星で植民奴隷として使われていた8人のアンドロイドが逃亡し、地球に逃げ込むという事件が発生。人工の電気羊しか飼えず、本物の動物を手に入れたいと願っているリックは、多額の懸賞金のため「アンドロイド狩り」の仕事を引き受けるのだが……。
 場所:半杓亭
 参加費:お茶おやつ代600円(この会でしか食べられない、おいしいおやつがでますよ~)
 満員御礼。定員:12名。要予約。開催の1週間前までにご連絡ください。定員に達した場合も告知いたします。またキャンセルされる場合はなるべく早めにご連絡ください。当日キャンセルをされる場合はキャンセル料をいただきます。あらかじめご了承ください。
 予約先:初めて参加されるかたは、yatsuhamicafe.reading(at)gmail.comにお名前とご連絡先、過去に読書会に参加したことがあるか、アルコールの出る二次会の出欠を記載の上、ご連絡ください。2、3日経ってもメールの返信がない場合はお手数ですが迷惑メールフォルダをチェックされるか、こちらの記事にメールした旨のコメントを書き込みください。
 Twitterhttps://twitter.com/yatsuhamibook

 今回は11名の参加となりました(直前に1名のキャンセル)。あとはぼくのミスでひとりお断りせざるを得ない状況になり本当に申し訳ないことに。すみませんでした。
 会としては、SFということもあって現実とはすこし距離のあるポストアポカリプスの世界が舞台なので、テーマの話にまでいけるかなと思っていたのですが、思いの外、ハードボイルド小説の構造が読みやすかったという意見が多く、そこからディックの言うところの人間性=感情移入/共感へと話を進めることができました。そうなのです、多用されるいろいろなガジェットがあるんですけどそのどれもテーマのために用意されたもので、語りと設定とテーマが見事に乳化しているのがこの作品のすごいところなんですね。だからといってSF設定が表層をなぞるだけのものかというと、ちゃんと考えられていてよく読むと「そうか北半球で終末戦争が起きたんだな」とわかったりするんですよね。
 さて次回は9月30日(土)を予定しています。四十六冊目は綾辻行人十角館の殺人<新装改訂版>』講談社文庫に決まりました。よろしくお願いします。まだどの本にするか決めかねているのですが、Twitterのほうでアンケートしてしますのでよければ投票をお願いします~。

*1:場所を移動して行う、アルコールの出る二次会もあります。お問い合わせ下さい。