ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

4月の読書のまとめ

読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2048ページ


WOMBS(1) (IKKI COMIX)

WOMBS(1) (IKKI COMIX)

■WOMBS 1 (IKKI COMIX)
 異星体との戦争において、切り札として運用される転送器官を子宮に宿した女性兵士の物語。訓練シーンを軸にじっくりと世界を説明している。読了日:04月24日 著者:白井弓子


■あとは野となれ大和撫子
 宮内悠介のすべてがここにある。いままで培われてきたものがすべて投入されているから、彼の既刊を読んでいると泣けて仕方がない。それでいてあらゆる要素がバラバラではなく有機的につながっていてストーリーは加速度的に盛り上がっていく。ナツキ、アイシャ、ジャミラ、イーゴリや東洋人観光客(!)まで含め、魅力的なキャラクターたちがほんとうに愛おしい。読み終えて人物紹介表を見直すと、彼女たちが表情を伴って生き生きと立ち上がってくる。寄る辺のなさと現状の過酷さ、そこに立ち向かっていく強さが輝いている。ああ、読めてよかった。読了日:04月24日 著者:宮内悠介


三つの悪夢と階段室の女王

三つの悪夢と階段室の女王

■三つの悪夢または階段室の女王
 新人作家とはいえ、作者より頭のいいキャラクターは描けない、という限界によって思考停止キャラがドツボにハマっていく展開が繰り返され、食傷気味になった。読了日:04月23日 著者:増田忠則


ヴィンランド・サガ(19) (アフタヌーンKC)
 なんかどうしたって戦に巻き込まなければならない、という流れのなかで、もしかするといままでもっとも強敵ではないのか、ガルム。トルケルの若い頃のようだ、という感想を読んで納得した。ヴァイキング戦士のひとつの究極なのだな。読了日:04月21日 著者:幸村誠


■暗黒小説へようこそ ミステリーのプロが解説する、ジェイムズ・エルロイの世界
 警察小説の文脈と文学的アプローチとの境界さ具合がよくわかった。読了日:04月21日


ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

■ダイナー (ポプラ文庫)
 徹夜で一気読み。無国籍な空気と殺し屋たちのリアリティがどこまでも濃密でとてもおもしろかった。読者を殺しにかかってくる、一本筋の通った快作だった。映画のイベントで来松された際にサインを頂く。読了日:04月19日 著者:平山夢明


ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ

ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ

ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ
 あまりこういう読み方はよくないのだろうけれど、ゴーストの登場が必ず教訓をともなう警告であったり、昼は人の世界であり、夜はゴーストの世界であるとか、俗信と精霊の世界が日常の隣り合わせになっている。そういうのはやっぱり共通するというか物語の元型を意識させられる読書だった。読了日:04月18日 訳者:飯沢耕太郎


Fate/Grand Order カルデアエース

Fate/Grand Order カルデアエース

Fate/Grand Order カルデアエース
 座談会も、各章を補完する資料集もよかったが、完全に不意打ちだったロマンとマシュの前日譚コミック「さよならスクラップ」にやられた。「カルデアごはん」もさすがのおもしろさだった。読了日:04月13日


最後にして最初のアイドル

最後にして最初のアイドル

■最後にして最初のアイドル
 アイドル文化に染まった視点が通底した、ワイドスクリーンバロック。このふたつを合わせようと思った時点で、この作品の勝利は決まったようなものだろうなぁと思わせられた。読了日:04月06日 著者:草野原々


エクス・ポ・ブックス1 フルカワヒデオスピークス! (エクス・ポ・ブックス 1)

エクス・ポ・ブックス1 フルカワヒデオスピークス! (エクス・ポ・ブックス 1)

■フルカワヒデオスピークス! (エクス・ポ・ブックス 1)
 ずいぶん昔に買ってからパート2まで読んで塩漬けにしていたものを、いまパート3「言葉」から読む。読んでやはりここから始めに読めばよかったと思った。特に和合亮一との対談では「自分のためではなく詩のために詩を書く」という「わたくし性」がなくなった先の「小説のために小説を書く」という書き方を教示されたように思った。読了日:04月06日 著者:古川日出男

青春SF小説3

 調に進んでいるので特に書いてはいなかった執筆状況の進捗を久しぶりに。いや正確にはいつかのSkypeで浅羽くんにあんまりこういう記事を書かないほうがいいのでは、と言われ、そういうものなのかなと思って今日に至るのだ。
 でも昨夜ラノベ作家を目指してがんばった人のホットエントリを読み、Excelで時系列にそった活動記録を残していたという記述を読み、そうか年間を俯瞰するという意味で確かにいいかもなと思い、さっそくやってみた。ところが特に正確な年月日をつけて残してこなかったので、なかなか活動記録をつけるのに苦戦したのだった。それでもまぁどうにか社会人になってからこっちの投稿履歴を書き出すことに成功した。それはやっぱり迷い勘違いしながらおろおろと小説について書いてあるこのブログを読み直すことができたからだ。その時々の単なる記録だけでなく、感情の揺れまで見せつけられてぐったりもしたけれど。でもきっとそういうものをその時々に封じているからこそ、陶冶の効果もあるんだろうなとも。
 さて、表題の進行状況を。プロットについて、章構成は当初に較べれば変わりつつはあるけれどできている。大筋のテーマさえブレなければ大丈夫だろうと柔軟に。キャラクターも街もだんだんとつかめてきているように思う(なんと主人公の名前も決まった!)。ちょっと会話だけで話を進めてしまう傾向があって、それでどうにか本文を執筆したことにしているけれど、地の文や描写はあとから追加するためにとにかくストーリーを進めてしまおうと思っている。SF的な設定の補完のために資料を読みたいところだけれど、いまのところピンと来たものがないのでこれは保留中。それで実際のところの進捗状況は……6章構成で1章半ば。今年の9月末の、半年後の締切を目指しているけれど、さてさてどうなることやら。前作の長篇執筆にくらべれば遥かにハイペースではあるので、確かに成長はしてるんだけど。

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇

 いまはこれを読み読み、なるほど反転攻勢か、それはこのあたりに入れるかな、と柔軟さを意識して引き続き書いていこうと思っている。

やつはみ喫茶読書会四十三冊目 『私自身の見えない徴』

 やつはみ喫茶読書会四十三冊目 エイミー・ベンダー『私自身の見えない徴』@半杓亭
 2017/04/01(土)開場15:00 開始15:30 終了18:00*1
 課題図書:エイミー・ベンダー『私自身の見えない徴』角川文庫
 作品内容:10歳の時に父親が原因不明の病になり、モナは「止めること」を始めた。唯一続けたのは木をノックすること、そして数学。父の病は癒されず、世界は色を失いながら彼女は大人になった。20歳を過ぎたある日、小学校で算数を教えることになったモナ。個性ばらばら、手に負えない子供たちと交わりながら、閉じていた彼女の世界が否応なく開かれてゆく――。現代アメリカ文学の明るい、新たな可能性が垣間見える、著者初の長篇傑作。
 場所:半杓亭
 参加費:お茶おやつ代600円(この会でしか食べられない、おいしいおやつがでますよ~)
 定員:12名。要予約。開催の1週間前までにご連絡ください。定員に達した場合も告知いたします。またキャンセルされる場合はなるべく早めにご連絡ください。当日キャンセルをされる場合はキャンセル料をいただきます。あらかじめご了承ください。
 予約先:初めて参加されるかたは、yatsuhamicafe.reading(at)gmail.com宛に、1.お名前、2.ご連絡先、3.過去に読書会に参加したことがあるか、4.アルコールの出る二次会の出欠、を記載のうえご連絡ください。

 無事に終了しました~。今回は6名のかたにご参加いただきました。ありがとうございました。マジックリアリズム的な街や設定、多様な比喩をどうのように読み解くのか、リフレインするモチーフを拾っていくと見えてくるもの、最初の寓話の、最後の語り直しについてなど、いろいろな感想が出て、やはり噛みごたえのある作品は盛り上がるのだなと思ったのでした。よかったよかった。
 さて次回は6/11(日)を予定しています。なんとお寺とのコラボ企画。坐禅会をやってからの読書会です。詳細はまた後日アップします。なお坐禅会への申込みは半杓亭さんへお願いします。

*1:場所を移動して行う、アルコールの出る二次会もあります。お問い合わせ下さい。