ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

やつはみ喫茶読書会2016の忘年会

 昨夜、市内某所にて、やつはみ喫茶読書会の2016年の忘年会が行われた。
 ただふつうに飲み会をやってもいいのだけれど、読書会の忘年会なのだからそれだけではちょっと物足りない、ということで「今年の1冊を持ち寄る」ことにした。
 本の紹介の始まりがけっこう座が盛り上がったタイミングであったため、ぼく自身がかなり酔っていてさほどメモできてないので、以下、順に会で持ち寄られた本をかんたんに紹介する。


魂の退社

魂の退社

 Nさんは「友人にすすめられた人生に役に立つ本」として『魂の退社』を紹介されました。「元新聞記者の人が書いた自分の行き方についてエッセイ」


エドウィン・マルハウス―あるアメリカ作家の生と死

エドウィン・マルハウス―あるアメリカ作家の生と死

 Mさんは「文庫版がでたのにわざわざ単行本を買い直したほど好きな小説」として『エドウィンマル・ハウス』を紹介されました。「一瞬一瞬を言葉にする大変さを実感する1冊」


早わかり世界の六大宗教 (朝日文庫)

早わかり世界の六大宗教 (朝日文庫)

 Tさんは「この本を読んで、別の本の宗教をからめた比喩がよくわかった」として『早わかり世界の六大宗教』を紹介されました。「日本で身近な宗教ということで神道が含まれ六大宗教」


 Yさんは「忍者目線の戦国時代とその戦が読めておもしろかった」として『とっぴんぱらり風太郎』を紹介されました。「万城目学なので、キャラクターも立っていて楽しい」


ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

 MYさんは「スティーブン・キング×山田風太郎!」として『ダイナー』を紹介されました。「殺しの描写がすごいし、料理の描写もほんとうにおいしそう」



 Rさんは「『自生の夢』にするか『スパイダーバース (MARVEL)』にするかで悩んで」『角砂糖の日 新装版』を紹介されました。「書き下ろし掌編もつくし、とにかく装丁がすばらしい1冊」


すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

 Kさんは「第二次世界大戦下のボーイ・ミーツ・ガールが明快なストーリーと美しい文章で描かれる1冊」として『すべての見えない光』を紹介されました。「小説の全部がある」


スペース金融道

スペース金融道

 さいごはぼくで「SFと金融という難解同士のかけ算でめっちゃおもしろい」として『スペース金融道』を紹介しました。「それでいて作者が持つ人への信頼が通底しているのがすごく好き」


 以上です。
 次回のやつはみ喫茶読書会四十二冊目は年明け2017年1月28日(土)で、課題図書は柚木麻子『本屋さんのダイアナ (新潮文庫)』です。来年もよろしくお願いします~。

11月のまとめ

読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1710ページ

夕凪の街 桜の国 (双葉文庫)

夕凪の街 桜の国 (双葉文庫)

夕凪の街 桜の国 (双葉文庫)
 再読。こんなにも短い物語だったんだな。自分のなかのほとんど残ってもいないはずだった義憤が、また刺激される。でもそれはきっと作者の目指したものとはきっとズレているんだろうとも思った。読了日:11月26日 著者:こうの 史代


スペース金融道

スペース金融道

■スペース金融道
 宮内悠介のSF金融コメディ。決め台詞と設定が繰り返されるのがTVシリーズっぽさがあって、この続きをまだ読んでいたくあった。なんどか声を出して笑ってしまった。SF的な設定の妙もあるし、なによりそれらがキャラクターの魅力になっている。鯨姫やザックはもっと出てき欲しかったなぁ。あとこれはもしかして勘違いかもしれないけれど不死身の「ぼく」の名前の由来、もしかしてキリヤ・ケイジから? 読了日:11月24日 著者:宮内 悠介


げんしけん 二代目の十二(21)<完> (アフタヌーンKC)
 今回も描き足されていることによって、各キャラの感情の流れがわかりやすくなっているように思った。とにもかくにもお疲れ様でした。読了日:11月22日 著者:木尾 士目


この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
 ああ、あと台風のシーンがカットされているんだな。読了日:11月22日 著者:こうの 史代


この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)
 そうか、あの帳面のやぶれた部分は、そこにつながったわけか。すずの情念の部分がマンガでははっきり描かれているんだなぁ。読了日:11月22日 著者:こうの 史代


この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)
 映画を観たので再読。初読時には見過ごしていた部分が、映画で強調されていたことによって気がつけて、また読み方が変わったように思う。あと思いのほか筆で描かれているんだなと思った。読了日:11月21日 著者:こうの 史代


■死の鳥 (ハヤカワ文庫SF)
 読書会用。スタイリッシュであることと小説がめちゃくちゃ巧いことはほんとによくわかるのだけれど、思いのほか読むのが大変だった。ただどれもイメージ喚起力にあふれた文体だと思った。特に好きなのが「チクタクマン」と「世界の縁にたつ都市をさまよう者」「ランゲルハンス島沖を漂流中」か。読了日:11月20日 著者:ハーラン・エリスン


百年の誤読 (ちくま文庫)

百年の誤読 (ちくま文庫)

■百年の誤読 (ちくま文庫)
 このすばらしい試みに賞賛を。たとえ当時ベストセラーにあっても、いまでも読めるものとそうでないものの、その差がはっきり出ていて、それだけでもこの本を読めてよかったと思えるのでした。そして何よりも読みたくなる本が増えるのが、読書ガイドとしても面白く読めたってことですね。読了日:11月04日 著者:岡野 宏文,豊崎 由美

やつはみ喫茶読書会四十一冊目『死の鳥』@半杓亭

 やつはみ喫茶読書会四十四十一冊目『死の鳥』@半杓亭
 2016/11/26(土)開場15:00 開始15:30 終了18:00*1
 課題図書ハーラン・エリスン『死の鳥』ハヤカワ文庫SF
 作品内容:25万年の眠りののち、病み衰えた惑星〈地球〉によみがえった男の数奇な運命を描き、ヒューゴー賞/ローカス賞に輝いた表題作「死の鳥」、コンピュータ内部に閉じこめられた男女の驚異の物語――「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」、初期の代表作「「悔い改めよ、ハーレクィン! 」とチクタクマンはいった」など、半世紀にわたり、アメリカSF界に君臨するレジェンドの、代表作10篇を収録した日本オリジナル傑作選。
 場所:半杓亭
 参加費:お茶おやつ代600円(この会でしか食べられない、おいしいおやつがでますよ~)
 定員:12名。要予約。定員に達した場合も告知いたします。
 予約先:初めて参加されるかたは、yatsuhamicafe.reading(at)gmail.comに名前と連絡先、アルコールの出る二次会の出欠を含め、ご連絡ください。

 今回は7名とお姫様が参加くださいました。またローカル紙の取材もありました。全体的に、なかなかに難易度の高い作品ということもあったのか、せっかく読んできたのだからという思いもあったのか、感想や疑問点、意見や解釈がひっきりなしに参加者から発せられ、結果的にはとても盛り上がった会になったように思いました。ぼく自身はSF的な設定はそこまでたいへんではなかったのですが、小説の構造などで非常に技巧に凝った作品が多く、全体を把握するだけでひーひー言っていたところもあり、後半の比較的年代の新しい作品はまた傾向が変わってきているのではないか、という意見には、単にぼくが慣れてきたから読めるようになったというだけではない重要な示唆があるように思ったのでした。
 さて次回、四十二冊目は年明け1月28日(土)、タイトルは柚木麻子『本屋さんのダイアナ新潮文庫です。そうなんです、実はまだ柚木麻子は取り上げたことがなかったんですよね。というわけでよろしくお願いします~。

*1:場所を移動して行う、アルコールの出る二次会もあります。お問い合わせ下さい。