ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

彼女の闘い、灰の街2016

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 ブログの更新を忘れていたので。あるイベント用に書き直したSF掌編をpixivにアップしました。旧バージョンも同様に残してあるので、読み比べてみるとおもしろいかもしれません。どこを削ってどこを書き足したのか、どんなふうにぼくが推敲したのか、そのあたりの思考の流れが読み取れるやもしれません。もしかすると。
 せっかくなので旧バージョンのリンクも、貼っておきます。
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10月のまとめ

読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1236ページ

バーナード嬢曰く。 3 (IDコミックス REXコミックス)
『氷』というか、ちくま文庫へのセルフツッコミは声出して笑った。あとは『ゼンデギ』の話、そうかーぼくは好きなんだけど確かにSFファンのなかではイーガンが書く必要がないって言われたもんなぁというのを思い出した。それとエッセイというかコラムがすごく面白いんだよ、なんかね。読了日:10月31日 著者:施川ユウキ


幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい (IKKI COMIX)

幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい (IKKI COMIX)

■幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい (IKKI COMIX)
 コミックitの連載から遡ってみた。なにも起きない、けれど水面下でゆれ動くものをすくい取っていて、ああそういえばこういうことを考えていたよな、と思わせてくれるマンガだった。特にあるていどの長さのある書店員と先生の話は顕著だったように思う。読めてよかった。読了日:10月23日 著者:黒谷知也


プリンセスメゾン 3 (ビッグコミックス)

プリンセスメゾン 3 (ビッグコミックス)

■プリンセスメゾン 3 (ビッグコミックス)
「どうせ死んでいく身やし、好きに生きたらええのよ」すっと背中を押されるような、なにかがほどけるような、そういう気持ちになるマンガです。は~、いいなぁ。読了日:10月22日 著者:池辺葵


四月になれば彼女は

四月になれば彼女は

■四月になれば彼女は
 読むのが大変苦痛だった。空虚な表現で説明過多。テーマは会話文で露骨に繰り返し語られ、そこに思考や思索がないので読者に押しつけられるだけ。細部も、いま受けそうなものをとりあえず入れてみた、というただの書割だった。村上春樹エピゴーネン。せっかくなので舞城王太郎を読んで出直してきて欲しい。ま、でも本屋大賞候補は固いんでしょうけど。帯コメントなんか新海誠星野源だしなぁ。約束されたベストセラーってやつ。読了日:10月21日 著者:川村元気


■ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫)
 あー!ほんと傑作だ。異人種の男女の視点が交互に描かれることで、よくも悪くもお互いを勘違いして、そのすれ違いや評価の変化がよくわかって、彼らのどきどきがとてもおもしろい。何よりもまだ高校生であり、これからも人生が続いていくことによる尻切れトンボ感がまたいいんだよなぁ。読了日:10月4日 著者:石川博品


終の住処

終の住処

■終の住処
 警句のようなそうでないような。とにかく文章の圧に圧倒されるけれど、すらすらと読めてしまう不思議。時間の流れ方がおもしろく、彼の主観を描いてあって見事だと思った。読了日:10月3日 著者:磯崎憲一郎

トム・ジョーンズ 舞城王太郎訳『コールド・スナップ』

じっと待ってることができれば、全ての悪いことがちゃんと通り過ぎるのだ。鬱の最中にはそういうことを忘れてしまうので、その三日間の開放のうちに俺は冷蔵庫のドアにメモを貼っておく。「リチャード、お前は善良で、愛にあふれた人間なんだ。悪いことも全部、ちゃんと通り過ぎてしまうんだ。次にまた落ち込んで自分がこれまでずーっと落ち込んで来たしこれからもずーっと落ち込んでいくんだと思ったときには、そういうのを思い出せよ。お前の考えなんて妄想に過ぎないし、そんなことでうじうじしててもどうしようもないんだぜ。お前は単にお前特有のフョードル・ドストエフスキー的感傷にはまってるだけなんだ。いいからお前自身のためにそんなの忘れちまえ!」

R.I.P.