ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

9月のまとめ

読んだ本の数:14冊
読んだページ数:2825ページ

本の雑誌389号

本の雑誌389号

本の雑誌389号
 いまさらながらに。ダブルI編集者対談にて「現在進行形のテクノロジーと人間の関係を正面から扱うことで人間の本質を今風に問う(中略)彼が象徴となるような問いの立て方みたいなのがあって」という下りに首をぶんぶん縦に振った。あとはSFベストを決めるときの神林長平の扱いに笑った。読了日:9月27日


こちら文学少女になります

こちら文学少女になります

■こちら文学少女になります
 新米マンガ編集者となってしまった文学少女が奮闘するエンタメ小説。マンガ編集あるあると笑えるネタもあるし、熱く泣けるシーンもあって総じて高水準。ただトラウマが弱く感じてしまうのはあっさり読める筆致が裏目に出てしまっているのではないか。覆面漫画家の動機も弱い……とここまで書いて、いやこういうタイプの小説にはそういう重さは必要ないのか、と気がついた。読了日:9月26日 著者:小嶋陽太郎


小説家という職業 (集英社新書)

小説家という職業 (集英社新書)

■小説家という職業 (集英社新書)
 けっこう色々な小説指南本を読んできたと思っているけれど、特に今回強く思ったのは、小説指南本にもレベルの高低があって、この新書はいまのぼくにはちょうどよくて、たぶん去年のうんうん唸ってた頃のぼくにはまだむつかしかったろうなぁということ。ロジカルに理想を語ることの気持ちよさが満ちていた。読了日:9月26日 著者:森博嗣


昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)

昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)

昭和元禄落語心中(10)(KCx)
 最終話の、与太郎の貫禄といい凄みといい、マンガっていうのはこうも表現できるんだなぁと感慨深くなった。いいね、かっこよかったし、おもしろかったなぁ。読了日:9月26日 著者:雲田はるこ


宝石の国(6) (アフタヌーンKC)

宝石の国(6) (アフタヌーンKC)

宝石の国(6) (アフタヌーンKC)
 ふぉ、フォスーッ!!!という展開。敵味方新キャラ入り乱れている。小出しにされる背景情報がいまだに推理を拒んでいて、これはいったいどうなるんだろうなぁ。読了日:9月23日 著者:市川春子


■ノックス・マシン (角川文庫)
 読書会用。うち2篇は別アンソロジーにて既読。どれもミステリ的な遊びにあふれた奇想ミステリ。SF的な設定というよりも、アングロサクソン探偵小説の読解のために量子力学を引っ張り出してきたような、ソーカライズさが目立つように思った。そういう細部のわちゃわちゃした感じが本筋の弱さを補強していると言える、のかなぁ。読了日:9月22日 著者:法月綸太郎


恋は光 5 (ヤングジャンプコミックス)

恋は光 5 (ヤングジャンプコミックス)

■恋は光 5 (ヤングジャンプコミックス)
 宿木さんのリタイアで状況が変化しつつある。でもぼくはやっぱり北代推しですわ!読了日:9月16日 著者:秋枝


■NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
 そうかこれ2014年だったか……。ようやく読み終える。表題作にもなっている長谷敏司「バベル」がいちばんテーマもモチーフも先鋭的で現代的なSFで批評性も高く、大好きだった。藤井太洋「ノー・パラドクス」もすごく現代的に時間SFをアップデートしてあってすごいけどちょっと好みからは外れてしまうのがおもしろかった。ほか酉島伝法「奏で手のヌフレツン」も異形と、その背後に透けて見える設定がしっかりとあってよかった。円城塔「Φ」も技巧的に凝っていてさすがの短篇だった。読了日:9月13日 著者:宮部みゆき,月村了衛,藤井太洋,宮内悠介,野崎まど,酉島伝法,長谷敏司,円城塔


BLUE GIANT 9 (ビッグコミックススペシャル)
 まぶしいものを見るように読んでいる。読了日:9月10日 著者:石塚真一


少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)

少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)

少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)
 あんまり小汚く描かれないところが終末世界ものなのに読みやすくていいです。読了日:9月10日 著者:つくみず


ハルシオン・ランチ (アフタヌーンKC)
 嘔吐系SF。沙村さんのフェティッシュが前面に打ち出された宇宙SF。ほんとうです、宇宙SFなんですよ。ラストの壮大さにびっくりした。おもしろかった~。読了日:9月5日 著者:沙村広明


外天楼 (KCデラックス)

外天楼 (KCデラックス)

■外天楼 (KCデラックス)
 まさかこんなにミステリでSFだったとは。噂に違わぬおもしろさだった。読了日:9月4日 著者:石黒正数


■WIRED VOL.19 (GQ JAPAN 2015年12月号増刊) /特集 ことばの未来
 円城塔と宮内悠介、カズオ・イシグロのインタビューを中心にディープラーニングについて読んだ。というかメインのインタビュー記事、Webでも読めるのか……。でもまさか、1番最後に読んだモデュレーターの話が、特に鮮烈だった。読了日:9月3日

やつはみ喫茶読書会四十冊目『ノックス・マシン』@半杓亭

 やつはみ喫茶読書会四十冊目法月綸太郎『ノックス・マシン』@半杓亭
 2016/09/24(土)開場15:00 開始15:30 終了18:00*1
 課題図書法月綸太郎『ノックス・マシン』角川文庫
 作品内容:2058年4月、上海大学で20世紀の探偵小説を研究していたユアン・チンルウは、国家科学技術局から呼び出される。博士論文のテーマ「ノックスの十戒」第5項が、史上初の双方向タイムトラベル成功に重要な役割を担う可能性があるというのだ。その理由を探るべく、実験に参加させられた彼が見たものとは―。表題作「ノックス・マシン」、名探偵の相棒たちが暗躍する「引き立て役倶楽部の陰謀」などを含む中篇集。「このミステリーがすごい!2014年版」第1位作品。
 場所:半杓亭
 費用:お茶おやつ代600円(この会でしか食べられない、おいしいおやつがでますよ~)
 定員:12名。要予約。定員に達した場合も告知いたします。
 予約先:初めて参加されるかたは、yatsuhamicafe.reading(at)gmail.comに名前と連絡先、アルコールの出る二次会の出欠を含め、ご連絡ください。

 今回は11人の参加となりました。前回の影響か単純にぼくのぼんやりさが原因か、うまく司会できなかったことが心残りとなった会でした。作品としては過去に2作は読んでおり、読み直した感じとミステリのバックボーンがあることできっともっとおもしろく読めたんだろうなぁという感想を持ちました。エモさというのはコンテキストによって醸成されるのだなぁということ。

*1:アルコールの出る二次会もあります。お問い合わせ下さい。

8月のまとめ

読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1908ページ

白馬のお嫁さん(3)<完> (アフタヌーンKC)

白馬のお嫁さん(3)<完> (アフタヌーンKC)

■白馬のお嫁さん(3) (アフタヌーンKC)
 駆け足ではあったけれど、ポスト・ヒューマンものとしてきちんとタイトルを回収して、丁寧につくってあったように思った。おもしろかったし、イメージが示唆に富んでいた。未来の都心の描き方とか豪雨を防ぐ紗幕とか。読了日:8月27日 著者:庄司創


ヴィンランド・サガ(18) (アフタヌーンKC)
読了日:8月26日 著者:幸村誠


Fate/Grand Order material II(書籍)

Fate/Grand Order material II(書籍)

Fate/Grand Order material II(書籍)
読了日:8月24日 著者:著者:TYPE-MOON


Fate/Grand Order material I(書籍)

Fate/Grand Order material I(書籍)

Fate/Grand Order material I(書籍)
読了日:8月24日 著者:TYPE-MOON


Fate/Grand Order 1st Anniversary Book
イラストが多くて豪華ブックレット感、ある! 読了日:8月17日 著者:TYPE-MOON


■金の国 水の国 (フラワーコミックスアルファスペシャル)
 コミカルで、それでいてちゃんと思いやりのある、そういう感覚がにじみ出ていて、どのキャラクターもほんと魅力的だ。頭のいいキャラクターがちゃんとそう見えるように描かれるのもかっこいい。あとライララがかわいいw 読了日:8月11日 著者:岩本ナオ


■メロディ・リリック・アイドル・マジック (ダッシュエックス文庫)
 う~ん、やっぱりおもしろいなぁ、ウェルメイドな石川博品! タイトルと表紙イラストにある通りのポップさが、主人公とヒロインの各々の葛藤を通して、切ったばかりの果汁あふれるフルーツのように新鮮だった。こういうアプローチもできるんだなぁということと、豪邸にお呼ばれ描写はあいかわらず安定度高い!まるでぼくにあつらえたように、お手本みたいなストーリー展開だった。でもラストのライブシーンはナズマ視点のほうが盛り上がったんじゃないかなぁ。でも、おもしろかったんだよなぁ(しみじみ)。読了日:8月7日 著者:石川博品


すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)
 かなり早い段階で犯人はひとりに絞られるわけだけれども、ハウダニットの部分は予想できなかった。なるほどなぁ。いまでも古びることないコンピュータサイエンスが確たる核となって、むしろ現代だからこそ地に足がついた作風になっているのではないかと思った。あとはやはり背後にもっと頭のいい存在、作者の存在感が強かったなぁということだ。読了日:8月2日 著者:森博嗣